
2011グッドデザイン賞受賞|グッドなデザインの理由。
2010.10.03
ボクがブランディングから運営まで関わっている、オーガニック茶畑のオーナー制度「UMEZUKI梅月」が2011グッドデザイン賞を受賞しました。
実は受賞について2週間以上も前から内定通知をもらっていたのですが、正式プレスリリース迄は公言してはいけないと...何度つぶやきかけた事か...
茶農家のタツミさんとは5年前、友人の紹介で知り合い、 「農家だろうが、これからはブランドを作って自分で売っていかなければ」と彼の熱い思いに触れ、ロゴシンボルマークはじめ、お茶のパッケージや、楽天サイトを手がけました。
楽天ショップをはじめて1年。彼はshop運営を辞め、自分でお茶を売る事をほとんどやめてしまいました。楽天側とのショップ運営方法の不一致、日々の畑の仕事を行いながらのパソコンの前でのSHOP運営は、体力的にもそして精神的にも限界があったと後から聞きました。
その後、タツミさんとはしばらくつかず離れずの関係でしたが、ひょんな事から頻繁に連絡を取り合う様になり、またお茶を売っていきたいと言う話になりました。
「一度は断念したのに何で再度挑戦したいのだろう?」「なぜタツミさんはブランド化してお茶を売りたいのか?」「そしてなぜ農協ではダメなのか?」と。色々話を進めていくと1つの道が見えてきました。「モノの作り手として消費者とダイレクトつながりたい」。
タツミさんは10種類以上のお茶を製造していますが、「それらひとつひとつをパッケージにして売ったのでは意味が無い。それらをたとえ楽天サイト以外で販売したとしても、前と同じ失敗を繰り返すのではないか。もっと別の切り口はないだろうか」と。
まずボクはわかりにくいお茶を1種類に絞って打ち出す事を提案しました。それから話を進めていく中で閃いたアイデアが「茶畑のオーナー制度」です。「モノを売る」のではなく、茶畑を軸にした「農家との関係と体験」にシフトしたのです。
パッケージングされた商品はメーカーをはじめ誰でも歌うことができますが、茶畑を歌えるのは「土にまみれた作り手である農家だけ」です。この時ボクはあえてパッケージングされた商品という舞台には上がりませんでした。
お茶は1種類だけですが、初夏の新茶から秋の番茶、そして紅茶まで年6回同じ茶畑で採れたお茶を味わえる事もコンセプトにし、費用もオーナー費用の前払い制を導入する事にして経営の安定化を図りました。タツミさんは快く引き受けてくれました。
オーナー制度は東日本大震災以前から行っておりますが、今回、日本の農業がこの様なカタチでクローズアップされる事になり、豊かさや幸せについても私たちは今まで築きあげてきた 価値観を見直す機会になりました。そういう意味で今回の受賞はハプニングであり、チャンスであったと捉えています。
オーナー制度自体は決して新しい仕組みではありません。ただ、生まれてくるプロセスが異なれば、それはまったく別モノです。
デザインを始めモノ作りの基本は「作ってみたい!」というシンプルな欲求からはじまります。と、同時に「なぜこの時代にそれを作らなければならないのか」を見いださなければ意味が無いのでは?とも考えます。
ボクがデザインに対する眼差しは、「物語」そのものです。
そして「いつ来るかもわからないチャンスに、日々黙々と、作業を、そして自分を積み重ねていかなければならない。」というストイックな部分を持ち合わせる必要があるとも感じます。
と、あまり上手くまとめれてませんが以上の事が、グッドなデザインを受賞できた理由だと思います。
グッドデザイン賞は、「くらしを、社会を、豊かにしうるのか」という視点で評価されます。見た目を判断するだけではなく、「本質のデザイン」と言う意味で今回受賞出来た事は大変光栄に思います。審査委員の皆様方、この場をお借りしてお礼申し上げます。
